第6章 揺れる警視庁、1200万人の人質
ーー松田side
意識を失った雪を抱き抱え救急車を待っていた。待つ間の数分に彼女に渡された紙を見た。
松田「……マジかよ」
萩原「陣平ちゃん?」
松田「俺は剛球豪打のメジャーリーガー、さあ延長戦の始まりだ。
試合開始の合図は明日の正午、終了は午後3時
出来のいいストッパーを用意しても無駄だ、最後は俺が逆転する。試合を中止したくば俺の元へこい。
血塗られたマウンドに貴様ら警察が登るのを、鋼のバッターボックス待っている」
紙に書かれた文を読み上げると萩原の顔は険しい顔になっていった。
萩原「……同一犯か」
松田「あぁ」
萩原「でもどうして雪ちゃんが巻き込まれたんだ?」
外に行くとは言ったが車に乗り込むなんて普通はあり得ない。
コナン「いや違うよ、多分……雪姉ちゃんは車の異変に気付いて巻き込まれただけだよ。本当の狙いは萩原刑事、若しくは警察に恨みのある人間だ」
真剣な顔で話す坊主に萩原と俺は驚愕する、これだけの情報でここまで考察出来るとは大したものだと。
コナン「ねえ、この事件と雪姉ちゃんは関わりがあるんだよね?」
改めて聞いてくる。爆発前に聞かれた時は言うつもりは無かったが、この状況でしかも答えるまで食い下がらないという目を向けられては言うしかない。
松田「3年前と7年前にも同じ事件があったんだ」
コナン「……どう言う事?」
萩原「……救急車来たから詳しく知りたいなら着いておいで」
そうして到着した救急車に俺と萩原と坊主が乗り込み、子供達は後から来た佐藤と高木に任せる事にした。
ーーコナンside
病院に着くと雪は治療室へと運ばれて行った。残された俺達は部屋の前のベンチに座り、萩原刑事は過去にあった爆弾事件を話し始めた。
萩原「今から3年前と7年前にも爆弾事件があってね、今回みたいに爆弾予告があったんだ。その時の事件に関わっていたのが雪ちゃんの親父さんと兄なんだ……」
当時の事を詳細に話し始めた萩原さん、雪の父の守沢さんや兄の隼斗さんの最後の日に何があったのかを教えてくれた。
コナン「……2人はどうなったの?」
松田「死んだ、大勢を護る為にな」
全く知らなかった事実、そんな辛い事があったとは思いもしなかった。
コナン「……松田刑事、雪姉ちゃんが持ってた紙見せて」
松田「あぁ……」
受け取った紙を俺はもう一度読み返した。