第4章 護りたい存在
ーー降谷side
ポアロのバイトが終わり、僕は彼女とヒロが帰る姿を車の中で風見と眺めていた。
降谷(……手を繋いで……)
何やら楽しそうに帰る2人に少し苛立ちを覚えてしまう。
風見「ふ、降谷さん……?」
降谷「⁉︎ ……すまない風見」
きっと殺気のようなものを放っていたのだろう。風見は僕に声を掛けてきた。
降谷「少し……羨ましくてな」
風見「羨ましい?」
降谷「あぁ、僕は立場上……彼女とずっと一緒にいられないから」
そう、彼女と一緒にはいられない。公安であり組織の人間の僕には。
風見「……降谷さんは彼女と何処で知り合ったんですか? 同期の隼斗さんの妹さんと言うのは把握していますが……」
あぁ、風見には言ってないな……いや、松田達にもか。
降谷「まだ彼女が松田達と知り合う前にな。初めは隼斗の妹とは知らなかったんだ」
時は警察学校時代、外出が許可され僕は1人で近くの公園へと歩いていた。平日の昼間の公園は殆ど人がおらず静かで落ち着く。そんな穏やかな場所に1人の少女が木の上に登って何処かを眺めている姿を見つけた。
降谷「どうしたんだい?」
?「!?」
降谷「っ危ない⁉︎」
気になって声を掛けると驚かせてしまったのか少女はバランスを崩し落ちてきた。
降谷「大丈夫か?」
?「う、うん…ありがとう」
降谷「突然、声を掛けて悪かった」
大丈夫と言った後、じーっと見つめてくる少女を僕も見つめ返す。少女はとても可愛らしく、瞳は左右違う色をしてとても綺麗だ。
降谷「君の瞳、とても綺麗だね」
本音が口から出てしまった。初対面のしかも小学生くらいの子に何を言っているんだ。これでは口説いてるように思われる。
降谷「あ、いや……その⁉︎」
?「……」
更に見つめてくる少女。これは不審者に思われても仕方ないのか? とヒヤヒヤしていると
?「ありがとう!」
降谷「……えっ?」
思ってもいなかった返事をされる。何故か少女はキラキラした目で僕を見る。
?「私、家族以外でそんな事を言われたの初めて! 凄く嬉しい」
本当に嬉しかったのか僕に何度もありがとうと言ってくる。
?「お兄さんも凄くカッコいいよ!王子様みたいで好きになっちゃいそう 」
降谷「……っ⁉︎」
格好いいなどは言われ慣れているはずなのに、何故かドキッとしてしまった。