第36章 緋色の弾丸〜15年前の事件〜
改めてお礼を言うと優しい笑顔を見せて立ち去った昴さん。家に帰ろうとヒロさんに言われ帰宅する。自分の部屋に戻ろうとした所でヒロさんに、ちょっと待ってと止められリビングへ向かい2人でソファに座る。これは赤井さんといた事を聞かれると思っていると。
諸伏「もう、帰る時は連絡してくれれば行ったのに」
雪「えっ……あ、元々は蘭ちゃん達と帰るつもりだったので……」
諸伏「それでも連絡はして欲しかったな」
連絡をしなかった事の注意、赤井さんといた事については何も触れてこない。どうして聞いてこないのかと不思議に思った私は自分からヒロさんに切り出した。
雪「あの、聞かないんですか?……赤井さんといた事」
諸伏「うーん、大体分かるからさ」
雪「そうなんですか?」
聞かなくても分かると言ったヒロさんは今回の事件についてコナン君と話していたのだろうと当てて見せた。
雪「その通りです、まあ私は成り行きで一緒にいましたけど」
諸伏「またコナン君の付き添いか、雪も大変だね」
小さく笑うヒロさんと一通り話はをした後、夕ご飯にしようと彼は立ち上がった。
雪「あ、今日は私が作ります!」
諸伏「良いの?」
雪「はい、ヒロさんの為に作りたいんです!」
連絡を怠ってしまったお詫びでもあるが、いつも作ってくれいるので今日は私が作りたいと思い、荷物を置きに部屋へと急いだ。
ーー諸伏side
キッチンに立つ雪をチラッと見ると視線に気付き、待っててと言われる。
諸伏(こういうのもアリだな……)
ゼロ達には申し訳ないが、一緒に住んでる俺は今一番幸せで勝ち誇った気分だ。
雪「〜〜〜♪」
諸伏(……赤井との事か……本当は気になるよ)
楽しそうに鼻歌を歌いながらご飯を作る彼女に俺は心の中で本音を言った。コナン君と共に事件についで話していたと聞きホッとしつつも、赤井と2人でいた事は気に入らなかった。2人の時の会話を詳しく知りたかったが聞けなかった。
諸伏(しつこく聞くのも重いかも知れないし……)
護るべき存在、だが本気で異性として好意を持っている。
諸伏「はぁ……やっぱり気になるな」
雪「ん? 何か言いました?」
諸伏「う、ううん何でもないよ」
料理中の雪に声を掛けられ何でもないと応えてしまった。俺はモヤモヤする気持ちを心に押し込んで今は雪の料理を待つことにした。