第32章 魔女の棲むお菓子の家〜プロローグ〜
ーー貴方side
5人でイベントを楽しんむ私は2回目のケーキを取りに行こうと席を立った。次は何にしようかとケーキの前で悩んでいるとコナン君がやってきた。
コナン「雪、まだ選んでいるのか?」
雪「うん。コナン君は飲み物?」
コナン「まあな、甘いのは苦手だし」
アイスコーヒーを取りにに来たコナン君は私が選び終わるのを待ってくれていた。
雪「やっぱりエクリールのタルト食べようかな」
そして何とか選んだ私はコナン君と席へと戻ろうとした時、ドンっと前から来る女性とぶつかってしまった。
雪「す、すみません!」
?「こちらこそ……あら、タルトが」
雪「あ……」
ぶつかった拍子でタルトの形が崩れてしまい小さく驚く。
雪「だ、大丈夫です。味は変わりませんから!」
?「駄目よ、お菓子は見た目も大事なの」
すぐに取り換えに行こうとエクリールのお店へと案内された。お店に入ると前田さんのブースには人が殆どおらず逆に藤野さんの方は凄い賑わっていた。
?「……ちょっと失礼」
機嫌が少し悪くなった女性はそう言い、私とコナン君を置いて前田さんのブースの奥へと入っていった。なんだが気になってしまい中を覗いてみる。
?「ちょっと前田君、もう少し愛想振りまけないのかしら?」
前田「……振り撒いて味が良くなるならいくらでもしますよ」
ブースの裏では次のお菓子の準備をしていた前田さんに注意をする女性がいた。
コナン「前田さんってちょっと怖いよね」
雪「近寄りがたいって顔はしてるけど、お菓子に対する思いは人一倍なんだよ」
見た目よりも味を大切にしている前田さんに私は感動したのだと話していると、女性が戻ってきて私が選んだタルトを再び持ってきて渡すと何処かに去って行ってしまった。
雪「ありがとうございます」
前田「……構わない、君は俺のタルトが好きなのか?」
雪「タルトもケーキも好きです! 見た目はシンプルだと思いますが、味は他と違ってて……」
とても美味しい、と感想を言うと前田さんはフッと鼻で小さく笑った。
雪「す、すみません…見た目シンプルとか私……!」
前田「いや、味をちゃんと見てくれて嬉しかったよ」
ありがとう、と感謝され私はホッとし改めてタルトのお礼を言うとこの場を後にした。席に戻ると、遅いと心配する3人の姿があり園子ちゃんは山の様なケーキを未だに食べていた。