第30章 銀翼の奇術師〜操縦士は女子高生〜
ーーコナンside
雪が操縦し始めて数分、だいぶ慣れてきたのか落ち着いて操縦していた。
キッド「そろそろ室蘭だ。2000ftまでコードを下げよう」
雪「はい」
そして見えて来たのは室蘭の景色、後は目的地に向かって着陸するだけ。
コナン「防人埠頭はもっと左、白鳥大橋の向こう……っ⁉︎」
雪「ねぇ、暗くて何も見えないんだけど……」
明かりが無ければ着陸はかなり難しい、しかも戻っている時間もない。どうすればと焦っているとキッドが与圧のボタンを押した。
キッド「なんかヤバそうなんで、俺は降りるぜ」
雪「ちょっ……⁉︎」
雪の傍を離れたキッドに驚き操縦がふらつき始めた。
コナン「雪姉ちゃん、旗幟を下げて!」
雪「う、うん!」
何度目かのふらつきは安定し、雪と蘭も息を吐いた。そして蘭はムッとしながらキッドの後を追った。
ピーッピーッ
雪「え、何⁉︎」
コナン「大丈夫、心配ない」
画面にはドアが開いた事を報告している。つまりキッドがこの飛行機から降りたという事だろう。蘭が新庄さんはキッドだと俺達に伝えに戻ってきた。
蘭「私達を……雪に操縦を任せて逃げるなんて最低ね!」
雪「仕方ないよ……それよりもこれからだよ」
コナン「こうなったら、僕達でやるしかない」
とりあえず防人埠頭の周りの様子を見てみると事にした。暫く先回して外を見る俺と蘭。
コナン「蘭姉ちゃん、どんな感じ?」
蘭「ううん、所々にライトはあるけど殆ど見えない」
雪「……」
中々明るい場所は見つからずにいると雪の様子がおかしい事に気付いた。
コナン「雪姉ちゃん?」
蘭「雪どうしたの?」
雪「ううん……平気だよ」
笑顔で返事をした雪だったが無理に作った表情なのか顔が硬っており冷や汗もかき始めていた。流石に無理させすぎている。
コナン「蘭姉ちゃん、ちょっと僕トイレ行ってくる」
蘭「えぇ、こんな時に‼︎」
俺はヘッドセットを付けるように伝えコックピットから出て行った。そして内部無線へと手を掛ける。
新一「聞こえるか雪」
雪「……っ‼︎」
蘭「新一⁈」