第4章 護りたい存在
ーーー諸伏side
雪にどうして一緒に住もうと思ったのかと聞かれたが応える事は出来ず、今度教えると応えた。
諸伏(護りたい……好きな子だからなんて言えないな)
あの日から好きだなんて言えない。
廃ビルの屋上。俺はあの日、この世から去るはずだった。
学校を卒業後、俺とゼロは公安に所属。そして黒の組織に潜入し俺はスコッチ、ゼロはバーボンと言う名前で活動する事になった。
潜入調査していた矢先、NOCのスパイだとバレてしまった。そして今、ライという男の剣術を奪い取り自決しようとしている。俺の仲間を周りを巻き込まないために。
ライ「馬鹿な事は辞めろ、スコッチ。お前はここで死ぬべきじゃない」
正体がバレた事で冷静な判断も出来ず、ライの言っている言葉も俺の耳には届かない。米神に銃を当て引き金を引こうとする。
ガチャン!
諸伏・ライ「「!?」」
いきなり飛んで来た矢。それは俺が持っていた銃に当たる。飛んで来た方向を見ると見覚えのある姿があった。
雪「……何、やってるんですか?」
諸伏「!? (雪……ちゃん?)」
ドアの入り口に立っていたのは弓を構えた雪ちゃんだった。
ライ「今のは君がやったのか、中々の腕前だな」
数メートル離れた距離から銃だけを狙った彼女。隼斗の妹で小さい頃から弓道をしていると聞いた事があったが、ここまでとは驚いた。
雪「彼から離れてくれますか?……私、人は狙いたくありません」
ライを鋭い目で見つめる彼女。その目を見たライは、分かったと言い俺から一歩離れた。
ガバッ
雪「諸伏さん! 」
諸伏「!?」
弓を降ろし急いでこちらに走って来た彼女は俺に抱きつく。そしてライの方へ視線を向けた。
雪「この人を傷付けないて!」
睨む彼女にライは、君は勘違いしていると訂正をする。
ライ「俺は彼と同じで組織に噛み付く犬。彼を殺す気など全くない」
諸伏(……つまり、それは……)
彼女の行動とライの言葉を聞き、冷静さを取り戻し始めた時だった。
カンカンッ カンカンッ!
遠くから階段を登る音が聞こえた。その音で取り戻しつつあった冷静さは消え、彼女が飛ばした銃を取り心臓へと突き付ける。
雪・ライ「「ダメ!/スコッチ!」」
引き金を引こうとした時2人は叫び、雪ちゃんは俺の持った銃を握って明後日の方へ向けた。