第29章 銀翼の奇術師〜指示通りに〜
ーー貴方side
コナン「雪姉ちゃん、座ろ」
雪「うぅ……私も戻りたいのに」
なんだか今回は振り回されてばかりな気がする。ため息を吐きながら席に着きコナン君を膝の上に座らせた。
コナン「えっ……」
雪「こうした方がいいでしょ、私操作とか分からないもん」
コナン「お、おう……」
全員が出ていくのを見送って暫く無言の時間が流れ、最初に口を開いたのはコナン君だった。
コナン「お前キッドだろ」
新庄「何の事だ」
コナン「バーロー、とぼけんじゃねえ」
どこの世界に小学生と高校生を操縦席に座らせる奴がいると話すコナン君。
雪「うんうん小学生に……ってキッド?」
キッド「やっぱバレたか」
雪「えぇ……⁉︎」
新庄さんがキッドだった事に驚いた私だだが、名前を呼ばれた時の事を考えると自然と納得してしまう自分がいた。ハンドルを握る彼を見ると、また会ったなとウィンクしてきた。
雪「え、じゃあ本物は一体」
キッド「あぁ、本物の新庄は……」
コナン「偽キッドにでもなってんだろ?」
全く話が見えて来ないが、どうやら余興の一つで函館にいる新庄さんがキッドの格好をしてスタンバイしているらしい。
キッド「今頃、偽キッドはキッドを捕まえる為に函館に向かった奴と追いかけっこしてると思うぜ」
キッドを捕まえたい人と言えば中森警部の事だろう。何というか警部も苦労してるなと少し可哀想に感じてしまった。
コナン「で、いつ運命の宝石を奪うんだ」
キッド「辞めたよ。本物のスターサファイアは口に含むと冷たいんだ」
あれは偽物だと応えたキッド、乗ってきた時に樹里さんの指輪にキスしたのはそういう事だと話した。どうやら客引きの為に嘘を吐いたのだろうとキッドは予測していた。
キッド「どうする探偵君、俺を捕まえるか?」
コナン「ああ、この巨大な鉄の鳥を巣に返してからな」
キッド「フッ……」
チラリと見つめ合う2人、今は敵対せずに協力関係を結ぶようでホッとする。そんな会話をしていると函館タワーに周波数を合わせるようにと無線が入った。
『周波数を118.35に切り替えてください』
キッド「118.35、了解」
周波数を合わせ、函館タワーとの無線を開始した。機長の島岡さんと名乗った人物が着陸の為の指示を出してくる。
『では、モードコントロールパネルのACPというボタンを押してください』