第3章 放課後と喫茶店
ーーー貴方side
支度を終えフロアに戻ると、松田さんと萩原さんのテーブルには珈琲が置かれいた。お客は2人しかいなかったので楽しくお喋りをする。
萩原「そう言えば、雪ちゃんって1人暮らしだっけ?」
雪「いえ、桜井さんって方と今は住んですよ……知ってますよね?」
桜井さん……諸伏さんの偽名で存在を知っている人は限られている。松田さん達は知っているはずなんだけど。
萩原「えっ、アイツと?」
松田「一緒に……暮らしてる?」
雪「は、はい……そうですけど」
松田/萩原「なんでだよ!/どういうこと⁉︎」
私の発言に驚いて息ぴったりで聞いてくる。勢いが凄すぎて困っていると、今までキッチンにいた安室さんがこちらに来た。
安室「お前らだと何やらかすか分からんからな、ヒロが適任だろ」
萩原「いやいや、そうじゃなくて!」
松田「なんでアイツと一緒に住んでんだよ!」
2人は一緒に住む事を知らなかったのか安室さんを物凄い目で見ている。
安室「彼女を護るのに1番良いのは一緒に暮らす事だと判断したからだ。雪は色々と知りすぎてしまったからな」
色々とは黒の組織の事だろう。組織については松田さん達も少しは知っている。そして、一緒に住む事になった理由は、私を護る為とヒロさんの身を隠す場所を考えた結果だった。
雪「でも安室さん……ヒロさんと暮らす事、後で松田さん達に話すって言ってませんでしたっけ?」
首を傾げながら聞くと彼は、忘れていたと笑顔で答えた。
松田「お前、わざと言わなかったな?」
萩原「絶対、俺達の邪魔してるよね⁉︎」
安室「さぁ、何の事だか分かりませんね」
伝えられて無かった事に怒る2人に安室さんはニコニコした表情で話す。
ギュッ
萩原「雪ちゃん、今からでも遅くない!俺と住まない?」
雪「えっ⁉︎」
松田「おいおい、それは俺の台詞だ」
一緒に住もうって言われても……
2人に手を握られ、どう返事を返せばと考えていると安室さんが大きなため息を吐いた。
安室「……お前達はこうなるから、ヒロに任せたんだ」