第3章 放課後と喫茶店
ーーー松田side
警察署では、雪に隼斗が殉職した事を目暮警部が伝えていた。
目暮「……すまない、雪くん」
目暮警部は辛い思いをさせたと謝っていたが、雪は謝らないで下さいと答えていた。
雪「兄は……大勢を護る為に犠牲になったんですよね。なら悪いのは……犯人です」
笑顔で振る舞う雪、飲み物買ってきますと言って1人歩き出す。気になって跡を付けると自販機の前で佇んでいた。
松田「……雪」
雪「……っ⁉︎」
松田「お前……泣いて……」
振り返った雪の目は赤く、泣いてないと呟いていたが、目には涙が溜まっており説得力ゼロ。
雪の事、幸せにしてくれ。
ギュッ
松田「……無理して泣かないようにすんな、今は俺しかいねえから」
そう言い優しく抱きしめる。雪はポロポロと涙を流し始めた。
雪「……1人になっちゃった」
松田「……あぁ」
……俺が代わってやれば、こんなに泣かずに済んだのに
雪「でも、松田さんまで居なくならなくて良かった……」
松田「……何言って……」
目は紅が泣き止んだ様子の雪が顔を上げて俺を見る。
雪「松田さんが好きだから」
好き?……俺の事が?
松田「……そう言うのは好きな奴に言え」
照れてボソッと雪には聞こえないように呟く。何て言ったのと聞かれたが無視して強く抱きしめた。
松田(あー、変に意識しちまうじゃねえか……)
無言のまま抱きしめていると、沈黙に耐えられなくなったのか雪が照れながら離して欲しいと言ってきた。
松田「照れてんのか?」
意地悪っぽく聞くと、雪の顔はさっきよりも赤くなる。
雪「照れてないもん! 」
と俺の腕の中かムッと睨む雪。照れた顔で睨まれても可愛いだけだった。
やば、めっちゃ可愛い。
萩原が本気になるのも分かる。
……幸せにしてやりたい。
雪の姿ににやけてしまい片手で口を隠す。すると、萩原が俺達を見つけて駆け寄ってくる。俺は急いで雪から身体を離した。
萩原「2人ともいたー……って陣平ちゃん、どうしたの?」
松田「……何でもねえよ」
じーっと見る萩原。そして何かに気付いたのか、グイッと俺に近づき雪に聞こえないように話しかける。
萩原「陣平ちゃん、雪ちゃんの事……好きなの?」
松田「………別に」
萩原「……俺、彼女は譲れないよ?」
松田「望むところだ」
ーーー松田(過去のお話)