第135章 新しい生活
「降谷さん、おめでとうございます。」
「あぁ。」
あぁ。じゃない!
めんどくさくなって結婚したことにしないで!
「めぐみ、印鑑がいるんだろ。一つあげるからそれもっていって。」
「あ、ありがとう。」
コロンと白い印鑑を手のひらに落とされ、私はそれを握りしめた。
「当分は…“夏目”ですからねっ!」
「はいはい。」
優しく笑う降谷さんは私の頭をくしゃと乱し、缶コーヒーを持って部屋に戻って行った。
「幸せそうで何よりです。」
「か、風見さん!」
「上司のあんな顔はやっぱりめぐみさんにしか出せませんから。」
「……。」
そう言われるとやっぱり嬉しくて、手のひらの“降谷”の印鑑をにぎりしめた。
「めぐみさんがいないとゆっくり休むことも出来ないんでしょう。顔色も違いますから。」
「…それは、小塚の大きな事件が解決したからじゃ。」
「男性用の大部屋より、めぐみさんのいるベッドの方がよく眠れるんでしょう。」
ふっと意地悪そうに笑う風見さんに私はかーっと顔が熱くなった。
「なっ!!何もしてません!!」
「何も聞いてません。」
「もう!風見さん!!」
「昨日、降谷さんに報告してから自分も休んだのに降谷さんいつまで経っても男性用の休憩室に来ませんでしたからね。大丈夫。何も聞こえませんでしたよ。」
「だから!何もしてませんってば!」
廊下に私の声が響き渡り、風見さんが微笑んだ。