第135章 新しい生活
私は急いでドアを開け、風見さんを探すとすぐ近くの自動販売機の前にいた。
「風見さんっ!」
「終わりましたか。」
「…っ!?なにも!してません!」
腰に手を回し、お互い見つめ合う状態で何もしてない。とういうのも変な感じだが、距離は近いが話してただけだ。
「いつも邪魔をしてすみません。」
「そんな!私がお仕事の邪魔してます!不動産屋さんが開いたらすぐ行きますので!」
すみません。と、いうと、風見さんが何かを思い出したようにこちらを見た。
「あなたがポアロで働いていた分のお給料ですが、銀行に預けてたやつも含めてこちらで押収…という形で、預かっておりますので後ほどお返ししますね。」
「ありがとうございます。何から何まで。」
「いえ、偽の免許証で作った口座でしたので、またいちから作り直したりなど大変だと思います。」
ガコンと出てきた缶コーヒーをとりながら、風見さんが言った。
そうか、口座も何もかも全部作り直しなのか。
じゃあ、まずこの戸籍の書類片手に口座…の前に印鑑も必要なのか。“降谷”の印鑑って百均にあるだろうか。珍しい名前だよなーと、頭でモヤモヤ考えていると、風見さんが私に缶コーヒーを渡してくれた。
「何かあればいつでも言ってください。」
「ありがとうございます…降谷さんの印鑑…とか借りれないかなーと考えてました。使ってないものでいいから、口座作るのに必要ですよね。」
「…降谷?」
「その辺に売ってたらいいんですけど。」
「入籍…されたんですか。」
「か、風見さんもご存じなのかと思ってました!」
「おめでとうございます。」
真剣な顔で言う風見さんに私は必死で両手を振った。
「違います!いや、違わな…?いや!やっぱり違います!なんて言うか…私がすぐここで暮らしやすいようとりあえずです!とりあえず!すぐ抜けます!いや抜ける…?待って!」
「抜けるなバカ。」
くくくと笑いながら、降谷さんもやってきてお金を自動販売機に入れて行った。