第134章 君の元へ
次の日は、降谷さんの手助けもあって家の中はどんどん片付いた。業者に頼んで要らない家具家電をすべて不用品回収で持って行ってもらい、服とかも最小限にしてすべて捨てることにした。
隙間時間に不動産屋に行って部屋を解約して、携帯も解約して行った。
ライフラインも止め、着実にこの世界とさよならする準備をして行った。
「…心残りないな?」
「うん。」
リュックと鞄を抱え、私は部屋の鍵をポストに入れた。
全てを捨てていく、この世界には二度とこないとわかってても私の心はとても清々しかった。
ーー…きっと横に彼がいるから。
「これが薬だ。落とさないように。」
「はいっ。」
「強く僕の世界のことを思い浮かべて。」
「はいっ。」
手のひらに落とされた白い小さな粒を見つめた。
「僕から手を離さないで。」
「離さない。絶対っ!」
私は腕にしがみついた。
「じゃあ、同時に。」
こくんと頷き、私は降谷さんが口に含むのを見届けてから自分もそれを飲み込んだ。
体には何の痛みも違和感もない。
目を固く閉じ、私は降谷さんに強くしがみついていた。
「めぐみ。」
「…っ。」
名前を呼ばれ私は顔を上げた。
「着いたよ。僕たちの世界に。」
ドキドキしてた。
私だけ行けず、降谷さんだけ帰っちゃったらどうしようとか、また全然違う世界に飛んだらどうしようとか、絶対に口にはしなかったけれど、心の隅でやっぱり考えてしまってたから。
「よ…よかった……!」
「おかえり。めぐみ。」
「ふるやさーん…!」
あまりの嬉しさに私は降谷さんの腰に抱きついた。
降谷さんは笑ながら私の頭を撫でてくれた。
「思ったよりお早い帰りでしたね。」
「あぁ、めぐみを見つけるのもスムーズだったし、めぐみも素早く行動してくれたおかげだ。」
頭の上で会話をし始め私は慌てて顔を上げた。
「か、風見さんっ!!な、なんでここ…!」
「ここは警視庁です。降谷さんはここで薬を飲んだので。」
メガネをぐいっと上げて言うので、私は慌てて降谷さんから離れた。