第13章 傘
その日の夜。
ご飯を食べ終わりしばらくスマホを見ていたら今日の事件がニュースになっていた。
クールの宅配便が荷台に死体を入れて偽装しようとしていたと。
たぶん。このことだろう。
冷たかったのはこの冷凍車のせいなのか。
それを、レシートで暗号に残したコナンくんに、それを解いて場所を突き止めた安室さん。
やっぱり探偵はすごい。
そんな頭がないのに、私はここで黒の組織から情報を得ようとしたり、こっそり隠れて生きていようとしてるのか。
…私大丈夫かな。
「ふぅ、お酒でも飲もう。」
久しぶりに家で飲みたくなって私は玄関を開けた。
「…雨。」
強くはないが、しとしとと冷たい雨が降っていた。
私は傘を取り出して、アパートをおりる。
傘を差し駅前のコンビニへと向かった。
びちゃと足首が濡れる感覚がする。
やっぱり辞めればよかっただろうか。
寒くて凍えそうだ。
コンビニで数本の酎ハイを買い、お店を出ると、ぐいっと手首を引っ張られた。
「わっ!」
「…みつけた。」
「え?……あっ」
昴さんだ。
大きな黒い傘を差し私をじっと見ている。
手を引かれた場所が屋根の下であったため、私は昴さんに当たらないよう傘を閉じた。
「シンデレラがやっといた。」
「えっと…なんで私だと?」
私は今は着飾ってないしメガネしてるし、あの時と見た目はちがうと思っているのに…
「歩き方、骨格、仕草、声…そういうのは簡単には変えられませんよ。」
「そ、そこまで覚えられていたなんて光栄です…。」
よく覚えてるなって嫌味を含めてそういうと昴さんはにこりと笑った。
未だに傘を差していて、私にぐっと近づいてくるものだから、壁に挟まれた私は傘と壁のせいで逃げ場がなくなっていた。
「あの日の夜は忘れられませんよ。必ず…といったでしょう?」
ちゃりっと取り出したのはイヤリング。
持ち歩いていたのだろうか。街中で私と偶然会えるのを期待して。