第130章 そんなの知らないっ!
バックミラーを見ながら、次は左にぐいっと曲がる。
私は身体を持っていかれないように必死に耐えた。
「降谷さんの愛車のナナちゃんの中で、事件の真っ最中。こんなドキドキするシチュエーションの中で…って、私たちらしいと思わない?」
「くっ!そんなの知るわけないだろうっ!」
「あっはは!」
「舌噛むぞ!」
そう怒鳴られ私はぐっと口を閉じた。
「もう一回言わせるからな!後で絶対!」
「うん。ちゃんと言わせて。降谷さんが好きって何度でも…!」
わしゃっとすごく乱暴に頭を撫でられ、降谷さんはまた再びバックミラーを睨みつけた。
「これを。」
運転しながら、もぞっと腰辺りから銃を取り出し私に差し出した。
「…は?」
「後ろに向かって撃て。」
「…は!?」
「大丈夫当たりはしない。威嚇射撃だ。」
「む、無理だよ!」
「構え方撃ち方は前教えただろう。」
「…!」
降谷さんの顔は真剣で冗談を言ってるようには見えない。
ーー…本当に?
私は恐る恐る銃を受け取った。
ーー…ずしっとやっぱり重い。
「セーフティは外した。ぐっとしっかりグリップを握れ。」
ゴクリ唾を飲み込んだ。
助手席の窓を降谷さんは全開にした。
一気に冷たい風が車内に入ってきて一気に頭が冷めた気がした。
「私が顔を出して撃ち返されない?」
「相手の狙いはめぐみだ。大丈夫絶対に撃ってこない。さっき一台撒いたから後2台。仲間がまた合流してくるかもしれない。」
「…わかった。任せて。」
「次曲がったら直進だ。出来るか?」
「うん。」
私は靴のまま座席に乗り上げ、いつでも窓から顔を出せるよう銃をしっかり握った。
降谷さんのニット帽を耳まで下げ、髪の毛が風で邪魔にならないようにして……
「めぐみ、曲がるぞ。」
「はいっ!」