第130章 そんなの知らないっ!
車が曲がり切ったところで私は助手席の窓から上半身を乗り出した。
シートベルトはしっかりと足にかけ、降谷さんの銃をしっかりと握りしめて右手を真っ直ぐ後ろの車に伸ばした。
『しっかり握ることで撃つことができる』
『反動が凄いから少し下を狙う。』
『女性は特に。』
頭で言われた事のある降谷さんの言葉を頭で繰り返した。
私向かってくる車のタイヤのそれよりも下の方を狙った。
外れてもアスファルトに撃てば弾がどっかにいってしまうこともないだろう。
「うっ…いっけーーー!」
私は半ばやけくそになりながら、引き金を引いた。
ダァン!!っと凄い音がして、手がビリビリと痺れた。
すぐに私は助手席に戻って、銃のグリップから手を離した。
「はぁはぁ。」
たった1発なのに、この衝撃。
「やるじゃないか、みろ。」
「…?」
後ろを振り向くと、タイヤがパンクしたのかハンドル操作がおぼつかないようで、左右に揺れながら横の車にぶつかり、そのまま壁へ衝突していった、
…まるで映画みたいだった。
「こ、殺しちゃった!!」
「タイヤに当たったんだ。あれくらいじゃ死なない。すごいな。狙ったのか?」
「車のめちゃくちゃ手前の狙いました!」
「反動で上に行ったんだな。ん。」
手をこちらに向けてきたので、私は銃を返した。
「めぐみのおかげで全部撒けた。風見たちとの合流地点にいくぞ。」
風見さん達から連絡があったのか、携帯画面を見て、降谷さんは道を曲がった。
「…もうカーチェイスはこりごり。」
「なんだ、僕なんてしょっちゅうだぞ。僕の恋人ならこれくらい慣れてもらわないとな。」
「恋人巻き込まないで。」
サイトギアに手を置く降谷さんの左手に私はそっと右手を重ねた。
「でも…助けてくれてありがとう。…カッコよかった…です。」
「言ったろ?絶対にめぐみを守るって。」
前を見ながら不敵に笑う降谷さんにドキドキとしながら、私は彼の手をぎゅっと上から握りしめた。