第130章 そんなの知らないっ!
ドリフトというのだろうか、私にはわからないけれど、カーブも激しく曲がり、バイパスなのか高速道路なのか大きな道に出てもスピードは落とさなかった。
サイドミラーをみると、真っ黒な車が何台かずっとついてきていた。
「あ、降谷さんっ。」
「大丈夫だ。」
ーー何が。とは聞けなかったけれど、降谷さんの声はすごく落ち着いていた。
「揺れるぞ。」
「…っ!」
ガタっと揺れ、私はドアに捕まった。
車と車の間をすり抜けたり、壁ギリギリを走り抜けたり…。
心臓が飛び出しそうなくらいドキドキしていた。
降谷さんは目をギラギラとさせ、急ハンドルを切った。
ーーーそんな姿さえかっこいいと思ってしまう。
「めぐみっ!歯、食いしばれっ!」
「はっ!?」
肩を抱き寄せられ、降谷さんはグッと更にアクセルを踏み込んだ。
トンネルの中の壁を…!壁を走ってる…!
ドンっと振動と共に、また道路に戻ると、降谷さんに肩を離され、私はシートに沈むように座り込んだ。
「か、壁を…!」
どっどっと鳴る心臓を手で抑えた。
ーーなんて運転するんだ…!
「…すこしまいたか。」
バックミラーを見て、降谷さんは携帯を取り出し、電話をかけるとイヤホンを耳につけた。
「風見か。…あぁ、合流した。」
電話の相手は風見さんのようだった。
「めぐみと直前にあったのは前田というあの女性捜査官だ。拘束して、連絡手段を抑えろ。…あぁ。FBIにも要請を。…そうだ。後ろからの追跡も撒いたから今からそっちに……いや。やはり、無理そうだ。」
降谷さんがまだ急に右にハンドルを切ったため、私はドアに肩をぶつけてしまった。
前からまた違う車だ。
後ろからも…!
「風見!かけ直す!めぐみのGPSで居場所を確認、援護を頼む!」
イヤホンを耳から外し、ギアのあたりに放り投げると、降谷さんはまたハンドルを大きくきった。