第130章 そんなの知らないっ!
私はお茶を出せるよう、お湯を沸かし始めた。
「甘いものはお好きですか?」
「いえ、お構いなく。すぐ本庁に戻らないといけないので。」
「…そうですか。」
風見さんも前にそう言ってすぐに仕事に戻って行った。
仕事だし、忙しいのだから仕方ないとわかってはいてもせっかく来てくれたから少しくらいってつい思ってしまうのは、たぶん一人でずっと家にこもっているからだろう。
「…ごめんない。また時間があるときに来てもいいですか?」
前田さんは私のそんな気持ちがわかったのか、気を遣ってそう言ってくれた。
「本当ですか?嬉しいです。お菓子でも作って待ってます。」
そういうと、前田さんは綺麗な笑顔を浮かべてくれた。
「ここにはゼロもいらっしゃるんですか?」
「…えっとーー…そうですね。」
「今回ゼロの下で働くのは初めてなので少し浮かれてて、今日来たら実はいらっしゃるのではないかと期待してたんです。」
「そうなんですね。その方がどんな人なのかは私からは言えませんが、もし次、ここでバッタリなんてことがあったら面白いかもしれませんね。」
「ふふ、時間が空くたびにここに遊びにこようかしら。めぐみさんも話してみたら面白そうですし。」
「このことゼロに話したら私が怒られちゃいます。」
「じゃあ、内緒で。」
「内緒ですね。」
前田さんはくすくすと笑うと、スーツをぴっと直し、玄関に向かった。
「それでは私は今日は帰ります。」
「はい、ありがとうございました。」
お疲れ様でした、と、私は玄関を出ていく前田さんに手を振った。
本当に色んな捜査官に支えられてる。
そして、そのみんながゼロが気になるみたいで驚いた。
やっぱり凄い人なんだ…。
急に真顔で馬鹿みたいな冗談言ってきたり、疲れたーってソファごろーんってなったり、子供みたいに甘えてきたり、そんな一面は私しか知らないって思うとちょっぴり嬉しかった。
こんなこと、誰にも言えないけれど。
そんなことを考えていると無性に降谷さんに会いたくなってきた。
「ーー早く帰ってこないかな。」