第129章 真実
「で、でもさっ!」
「めぐみ。」
「…っ。」
「そんなに僕の恋人になるのが気になるのか?」
私はテーブルを挟んで、ダイニングテーブルの横に立ったまま、うつむいた。
「たしかに警察官と交際ってなると色々調べる。公安なら尚更だ。」
「…うん。」
「僕を誰だと思ってる。」
「…こーあん。」
「ただの公安じゃ無い。」
「警察庁の公安?」
「警察庁警備局警備企画課。」
「…?」
はじめて聞く言葉で、私は顔を上げて降谷さんを見て首を傾げた。
「これが僕の所属する組織だ。」
「…。」
公安って名前つかないんだ。
「通称“ゼロ”。何でゼロって言うと思う?」
「降谷さんの昔のあだ名?」
「違う。それはたまたま。」
「そうなんだ。」
「存在してはならないと言う意味だ。僕は警察庁に身を置いてるが、実際には存在していないものとして扱われている。卒業リストからも全部名前は消され、僕を知ってるいるのはほんの一握り。」
「…うん。」
降谷さんは立ち上がり、私の横に来て私の頭を撫でた。
「そんな僕の恋人を、まぁ調べることはしても、書類に残すと思うか?」
「……。」
私は首をゆっくり振った。
「もちろん上司に報告はするし調査はする。上司にはめぐみの異世界の情報も極秘に報告もしている。」
「そうだったんだ。」
「だけど、それで恋人にはなれないと言う理由にはならない。」
私は降谷さんの言葉に胸がドキドキとなって押しつぶされそうだった。
「なれる?……私のせいで降谷さんの経歴や顔に泥を塗ったりしない…?」
「しない。」
優しく笑ってくれた降谷さんの胸に私は顔を埋めた。
「降谷さん…降谷…零さん…。」
「はい。」
「上司の許可が取れたら……私を貴方の…恋人にしてもらえませんか…。」
顔を見ることができなかったけれど、降谷さんは優しく私の頭を抱きしめてくれた。
「喜んで。」
「向こうの世界に…帰りたく無い…」
「あぁ、帰すつもりもない。」