第129章 真実
「…お弁当。」
「…へ?」
「いや。別に。着替えてくる。」
少し元気ないような感じで自室へと入っていった降谷さんに首を傾げていると、風見さんが小さな声で話しかけてきた。
「あれは自分にもお弁当を作ってほしいというアピールだと思います。」
「えー?降谷さんが作った方が美味しいのに。」
「めぐみさん、わかってませんね。めぐみさんのがいいんですよ。もう今から目に浮かびます。警視庁の席で自慢する降谷さんの顔が。」
「…。」
「ぜひまた警視庁の仕事の時に渡してあげてください。きっと喜びます。」
「…前向きに検討します。」
卵焼きだってまだぺろってめくれたりするし、彩や栄養面だってそこまで上手く考慮出来ない。
おにぎりは美味いと思ってる。
でも…忙しい降谷さんには買いに行くより持たせてあげた方がいいのかもしれない。
「お待たせしました。晩御飯を詰めただけですが…。」
「いえ、助かります。今ローラも出払っているので、仕事がどんどん溜まってしまって、食事もまともにとれなくて。」
「ローラさんいないんですか?」
「はい。ローラはあの製薬会社に潜入中です。ああ見えてローラは薬剤師の資格も持っているので。」
…あの製薬会社。
小塚のところだろう。
そんな危険なところにローラさん行ってるんだ…。
「…心配です。」
「あれでも立派な公安です。」
「ですよね…。何もできずここにずっといるのが悔しいです。」
「…めぐみさん。」
そんなことを風見さんに言ったって仕方ないことなのに、ついぽそりとつぶやいてしまった。
一人で部屋にいると色々考えてしまうのだ。
「我々公安は今までめぐみさんに助けられたことが何度もあります。本当はそんなことあってはならないことです。」
「…そんな。」
「小塚が何をしているのかわかっていない以上、公安にめぐみさんを守らせてください。」
「そういうこと。めぐみは僕が守るから。」
着替えた降谷さんが私の頭を後ろからぎゅっと抱え、頬を乗せてきた。
「それでは、自分はそろそろ戻ります。」
「はい、お気をつけて。」
風見さんを玄関で見送ると、降谷さんは待ってましたと言うように私の頬にキスをした。
「ただいま。」
「お、おかえりなさい。」