第129章 真実
降谷さんの恋人になったからと言って特に前と変わることは無かった。
前から恋人のような関係ではあったし、でも……前よりも、私に甘くなったような気も…する?
「降谷さん、おかえりなさい。」
「あぁ,ただいま。」
「……。」
「あー、疲れた。」
「あの…」
「ん?」
「近い…です。」
「好きな人からのおかえりって最高だな。」
玄関まで迎えに行って、出迎えたらもうずっと後ろから手を回されて首の辺りですりすりされている。
ズルズルと後ろをついてきて夕食を作ってる間もずっとひっついてる。
「今日は何も無かった?」
「うん、特に何も。」
本当に何もない。
私がここに隠れてるって公安の人たちが上手に隠してくれてるんだろう。
買い物もしてきてくれるし、暇ならって本を持ってきてくれたりも。映画だって観れるし、何の不自由となかった。
「恋人にエプロン姿で出迎えられる…あー、抱きたい。」
「ちょっ!な、何言ってるんですか!」
私は慌てて、後ろにいる降谷さんから離れた。
だって、今ここには…
「すみません。では、自分は帰ります。」
風見さんが来てるのに!
「何だ風見いたのか。」
「目が合いましたよね?」
メガネをぐいっと上げて,風見さんはソファから立ち上がった。
降谷さんや私の新しい服や食料をたくさん買ってきてくれたのだ。
「あ、ご飯がそろそろできるのでよかったから。」
私が風見さんを夕食に誘うと、風間さんは首を振った。
「いえ、降谷さんもいますし、帰ります。」
「なんだ、僕がいるとダメなのか。」
「そう言うわけでは。ただその視線の中で美味しく食べられるとは思えません。」
「…意外と言うな、君。」
「あ、じゃあ、お弁当にするので、持って帰ってください。」
「…お気になさらず。」
「今暇だからお料理の勉強してるんです。まだまだですけど…。」
今まで特に料理にはこだわっていなかったが、今はレシピ本を買ってもらって家で楽しんでいるのだ。
私は棚から大きなお弁当箱を取り出した。
「じゃあ、お言葉に甘えて。」
「はい!待っててくださいね!」
キッチンでいそいそとおにぎりを作ったりしていると、降谷さんがじっと立って私を見ていた。
「…?そんなとこ立ってないで、スーツ着替えてきたら?お風呂用意できてるよ?」
「…。」