第126章 守りたい
「めぐみさんっ!」
バックヤードから来たのは、安室さんだった。
ーー来てくれた。
慌てた様子の安室さんは店内の状況を見て、ぐっと眉間に皺を寄せ、私の上にいる男に向かって右手を振り上げた。
「何が目的です。強盗…ではなさそうですが。」
男はさっと安室さんからのパンチを避け、私の上から退けたので、私は縛られたまま立ち上がり、お店の端に逃げた。
「Je veux emmener des femmes avec moi!」
「彼女を連れて?…させませんよ。」
ボクシングのポーズをとり、たんったんっと軽くステップを踏み始めた安室さんに、男もファイティンポーズをとった。
狭い店内で、男が二人格闘が始まった。
「…っ…」
どうしたいいのかわからない。
私は繰り広げられる戦いを横で見ることしかできなかった。
安室さんは男からのパンチをスレスレで避けているが、安室さんの攻撃もことごとく避けられていた。
「はぁはぁ。……ふぅ。やりますね。」
「…あの女、よこせ。」
カタコトでぽそっと男がつぶやいた。
「彼女は絶対渡しません。あぁ、そうだ、裏にいる貴方のお仲間は先程僕を見て逃げたようですよ。」
「…いや。いる。」
ポアロのオモテの道に男の仲間が運転する黒い車が急停車したのをみて、男は走って店のドアから出た。
「待てっ!」
安室さんは男を追いかけて、お店を出たので私もお店を出て、扉から顔だけ出した。
「女、色んな組織から狙われる。コヅカ、雇う。俺たち負けない。必ず掴まえる。」
車に乗り込んだ男はドアを閉める瞬間、私を睨みつけながら低い声でそういうと、猛スピードで車を走らせた。