第12章 おかえり
ささっと作ってくれた安室さんの和風パスタ。
バックヤードで食べているが、本当に美味しかった。
「安室さん特製のまかない。最高です。」
「満足いただけたみたいでよかったです。」
「大満足です!」
ベーコンもしめじも美味しい。
私が作るとたぶんべちゃっとなってしまうんだろうな。
お客さんからも評判よくって、お仕事もはやくて、まかないも美味しい。
シフトを守らなかろうが、怪我をほっとく間抜けさんだろうが、安室さんがポアロに帰ってきてくれてよかった。
「安室さん、おかえりなさい。」
「…え?」
「もしかしたら辞めちゃうのかと思ったから…帰ってきてよかったです。」
「…はぁ、貴女は…まったく。」
食べ終えた安室さんはバックヤードのソファから立ち上がり、いまだパスタをすする私の横に腰掛けた。
「どうして辞めると思ったんですか?」
そんな事一言も言ってないのに。と、探るように私の目を見てきた。
口にあったパスタをごくりと飲み込み、わたしは言葉を選んだ。
「コナンくんが…『安室さんポアロまた来るのはなんでだろう』みたいな言い方してたから、コナンくんの中ではもう来ない可能性が、あったのかなって…子供の言う事だからあんまり信用はしてなかったんだけど、なんか心にそれが残ってて…」
「そうでしたか。でもちゃんと帰ってきましたよ。ただいま。」
おもったより近い。
肩や足が触れそうなくらい近くに座ってる。
私はどうしたらいいのかわからなくて、コップのお水をごくごく飲み干した。
「メガネ…。外していいですか?」
「な、なんで?」
「そんなの邪魔だからに決まってるでしょう。」
邪魔って何の邪魔になるのかなんて、聞けない。
私の肩に安室さんの手が回ってきてる。
どうしよう。のこりのパスタを口にいっぱい含んでやろうか。
お客さん来ちゃう!って無理やり立ちあがろうか。
「どうやってここから抜け出そうか考えてます?」
「…っ。」
「くくっ、わかりやすいですね。」
「あの…私なんかより…」
他の人にって言おうとしたら、痛いくらい顎をがしっと掴まれて、安室さんのほうに顔を寄せられた。