第12章 おかえり
買い出しの時確かに安室さんは私の髪の毛を触ってきた気がするが、あの時は安室さんゴミがついてたって言ってなかったか。
「ゴミというのは誤魔化しただけですよ。つい、貴女に触れたくなった。」
かぁっとふたたび顔が赤くなったのがわかった。
私の今と同じだ…!
目の前のキラキラ輝く安室さんの髪の毛に私はつい手を伸ばしてしまったのだ。
「どうして、僕に触れたくなったんです?」
「えっ…いや…ただ…」
「ん?」
安室さんは冷蔵庫を閉め、立ち上がりまた私に近付いてきた。
「綺麗だなって思って…ただ、それだけで…」
「ほー。それで普通男性の髪の毛を触ろうとしますか?」
「…っ。」
本当に無意識だった。
「なら今僕もめぐみさんの髪の毛に触れてもいいってことだ。」
「だ、だめ。」
「…。ま、今はいつお客さんきてもおかしくないですし。お客さんがいないうちにお昼作ったほうがいいですね。」
ほっと。息をつくと、安室さんはぐっと私の耳元に近付いてきた。
「おっしゃってくだされば、僕の髪の毛くらいいくらでも触れさせてあげますよ。」
耳元のイケメンボイスは私には毒すぎて、手で耳を覆った。
その様子を見て安室さんは満足そうに微笑んだ。
やっぱり…意地悪だっ!