第124章 モテ期
降谷さんは足を止め、こちらに振り向いた。
「…潜入中のことだから、行方不明と処理されて家族はまだ知らない。だからお墓はないよ。組織には身元不明の死体として処理され死体も消された。」
「…ごめんなさい。」
「いや。彼の家族にとても頭のいい人がいるからね。きっと気付いてる。」
「お名前を聞いてもいい?ヒロさん…だよね?」
一度、降谷さんがぽろりと名前を言っていた。
「あぁ、諸伏景光。ヒロだ。」
「お料理が得意だった人?」
「そう、少ししか話してないのによく覚えてるな。」
「うん、降谷さんが自分のこと話すのは珍しいもん。私が幼なじみって聞いて女の人だと勘違いしたんだよね。」
「そうそう。」
私は近くの松田さんのお墓の前にもう一度立った。
「仲良しだったんなら、代表して松田さんに手を合わせよう。きっとヒロさんに伝えてくれる。なんなら、ヒロさんはみんなの近くにいるかもしれないしね!」
「…。」
「松田さーん、降谷さんは元気にしてますよーってヒロさんに伝えてくださーい。たまに無茶しまーす。寝ろって言っても寝ませーん。」
「ふふ。」
「たまに変態なのは誰のせいですかー。もしかして、同期の誰かの真似ですかー。」
「おい。」
「へへ。」
わしゃっと頭を撫でられて、そのあと頭を少しだけ抱きしめられた。
「ありがとう、めぐみ。11月7日にここに連れてこれた。」
「私こそありがとう。」
降谷さんに手を引かれ、私たちは彼らのお墓を後にした。