第124章 モテ期
「どうしたんだい?ため息なんて。」
「あ、安室さん。…あー、いや新作メニューのデザインを考えてて。」
貝山さんのことは黙ってる。
一応秘密にしといて欲しいと言われたからには、そうした方がいいかと思って。
「そう、お疲れ様。今日、この後時間あるかい?」
「うん、大丈夫だよ。」
「ちょっと付き合って欲しい場所があるんだ。」
ふわっと少し切なそうに微笑んで、私の頭を一度だけ撫でた。
「…?」
■□■□■□
降谷さんに連れられてきたのは渋谷だった。
街の中に木がたくさん植えてあるちょっとした異空間の様な場所。
「ここは?」
「月参寺」
「おてら?げっさん…?」
駐車場に停め、降谷さんが出て行ったので、私も慌てて車から降りた。
用意してあったのだろう、後ろの座席からお花を取り出して本堂の裏に回っていく。
ーー…お墓参り?
「今日が命日なんだ。」
降谷さんは『萩原』と書かれたお墓の前に立った。
すでに誰かがきたのか、お花が綺麗に供えられていた。
「おぎわら…さん?」
「はぎわらな。」
「…前言ってた同期の方?」
「そ。こいつは七年前。爆発で。」
持っていたお花を数本とり、水差しに差し込んだ。
私はしゃがみ手を合わせた。
降谷さんは私の横に立ったまま、じっとお墓を見つめた。
きっと、萩原さんとお話をしているんだろう。
降谷さんはしばらくすると、また違うお墓に向かった。
「この方は…『松田さん』?」
「あぁ、機械いじりが得意だった。三年前、同じ犯人に同じ日に同じように爆発で。」
「…。」
私は同じようにしゃがみ手を合わせた。
「この人が『焦りは最大のトラップ』って言ってた人?」
「そう、よく覚えてるな。」
「うん、すごく記憶に残ってる。」
降谷さんの友人達。
ハロウィンが終わった11月7日ーー…。