第119章 のんびりと
キャメルさんにアメリカンを出し、小さなお皿にクッキーを二切れ乗せ横に置いた。
「…?これは。」
「おまけです。内緒ですよ。」
「ありがとうございます…。」
「先日私が危ないことしそうだと、赤井さんに伝えて下さったお礼です。」
「あれは…勝手なことしてすみません。」
ここでの梓さんとの会話を聞いて、私がキャバクラに一人で潜入することを赤井さんに伝えてくれたのだ。
お陰で助かったことは、つい最近のこと。
「いえいえ、命の恩人です。」
じゃないときっとバーボンに監禁されていた。
「よかったです。」
「クッキーでしたけど、甘いものはお好きでした?」
「はい、大好きですっ!」
ガタイのいい強面のキャメルさんが頬を赤らめながら、甘いものを大好きというのは、とても可愛らしく思えて私はふふっと笑ってしまった。
「よかった。ごゆっくりしていってくださいね。」
「はい。」
静かな店内、たまにキャメルさんのコーヒーを啜る音が聞こえた。
「めぐみさんは……。」
「はい?」
乾いたカップを綺麗に棚に戻していたら、キャメルさんが小さな声で声をかけてきた。
「その…。」
「?」
言いにくそうにぽそぽそと話し出した。
「あの店員と…」
「安室さんですか?」
「はい。…そのぉ…恋人同士だったりするんですか?」
「へ?」
そんなことを彼から聞かれるとは思わなくて、間抜けな声が漏れてしまった。
「す、すみません!こんなこと!最初は自分は赤井さんと何かあるのかと思ってたんで…!」
「あるわけないじゃないですか。」
バックヤードから空のお皿を持って安室さんがお店に顔を出した。
「お、おまえ…!いたのか!」
「いないなんて一言も言ってませんよ。お昼休憩をしていただけです。」
顔を青ざめさせ、安室さんを指差すキャメルさん。
安室さんも座るキャメルさんを睨みつけるように見下ろした。
んもう。今くらい仲良くすればいいのに。
笑顔で手を繋げとまでは言わないけど、今は事件も何もないんだから、睨み合わなくったって。