第118章 右腕
【おまけ】 風見視点
入院中ノックと共に入ってきたのは、降谷さんとめぐみさんだった。
安室透ではなく“降谷さん”とめぐみさん。二人はもう一緒にいることはないとローラに聞かされていたから、二人は別れたものだと思っていた。
自分の元に駆け寄り心配してくれるめぐみさんと、後ろをゆっくり病室内に入ってくる降谷さんの表情を見る限り、とてもそんな感じには見えなかった。
「めぐみが君との会話を録音してくれてたんだ。」
と、めぐみさんの頭を撫でる降谷さんの穏やかな表情と彼を見上げるめぐみさんの表情は恋人同士そのものだった。
ーーこれだ。自分が見たかった降谷さんは。
何故一度でも彼女を手放そうとしたのか、(降谷さんがフラれたのかもしれないが)自分にはわからないし、降谷さんにも考えることがあったのだろうと思うが、やっぱり降谷さんはこうでないと。
「めぐみさん。うちの上司をこれからもよろしくお願いします。」
「はい。任されました。」
と、笑っためぐみさんの笑顔は今まで見た笑顔で一番美しく思えた。
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今回の事件の経緯を降谷さんに話し終え、めぐみさんを呼びに行ったが、帰ってきたのはめぐみさんだけでなく、ローラも一緒だった。
どうやら自分の荷物を持ってきてくれたようだ。
ーー…しかし、めぐみさんとローラが一緒…。
大丈夫だろうか。
「はい、“零さん”のコーヒー。」
と、めぐみさんが、小首を傾げながららしくもなく降谷さんにコーヒーを渡した。
いつもは“降谷さん”の呼ぶのに。
どう見ても、ローラへの当てつけだろう。
案の定、ローラへ視線を向けると、くっと歯を噛みしめていた。