第118章 右腕
「あんまり風見さん叱っちゃだめですよ。」
「なんだ、やけに風見の肩をもつな。」
「怪我人ですからね。」
「僕の右腕だ。」
「右腕…?」
「あれほど優秀な捜査官はいない。…あの日なんであそこにいたか知ってるか?」
「まさか。」
「僕のためのカレーを買いに行ってたそうだ。」
「カレー…?」
「僕の好きな店があの近くにある。」
「そうなんだ。」
降谷さんの好きなもの…か。
私は知らないな。
「あんまりめぐみが風見風見言ってると、八つ当たりするかもな。」
「えっ。」
「言ったろ。独占欲が強いって。」
「でも風見さんだよ。」
「だからなんだ。」
「自分だってローラさんといるくせに。まぁ、仕事だし?仕方ないんだけどーー…。ハニートラップだってこの先色々するんだろうしさー。」
私がぶつぶつと言ってると、目をパチクリとさせた降谷さんが立ち止まり振り返った。
「妬いてくれるのか?」
「…別にぃ。仕事ですから。そういう約束だもん。」
すると降谷さんはニコッと笑って私の頭をポンっと叩いた。
「安心しろ、ローラはちゃんと断った。これからも何もない。」
………ん?
「ん?え?待って…。断ったって…告白されたの?」
「…まぁ、そうだな。」
…あの女、公安公安って意識高いかと思いきや、ちゃっかりと…!
「へぇーー…。」
「そんな目で見るな。ちゃんと断ったって。」
「ふぅーーん。」
「おいっ。」
「別に何も心配してませんって。それよりほら、風見さんのところ行きましょう。」
「…。」
まだ何か言いたげな降谷さんは少し息を吐いて、再び歩き出した。
一つの個室の前について、ノックをすると風見さんの声が聞こえてきた。