第118章 右腕
「今日の予定なんだが。」
甘くてふわふわのフレンチトーストを満喫していると、すでに食べ終えた降谷さんがコーヒーを飲みながら話し出した。
「はい。あ、私はポアロ午後からだよ。」
「あぁ、僕はポアロは休みだから、午前のうちに風見のところに行かないか?夜のうちに目を覚ましたらしい。」
「ほんと!?」
気になっていたから嬉しい言葉だった。
私は早く行きたくて、急いで残りのサラダをかきこんだ。
「僕も何があったのか、風見からちゃんと聞かないといけないからな。」
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出かける準備をして、私たちは降谷さんの車に乗り込んだ。
「どこの病院ですか?」
「警察病院だ。」
「え?警察だけの病院とかあるんですか?」
「いや名前だけで普通の病院だ。だが、公安などが隠れて入院する場合の少し隔離させた病室もある。」
「へぇ。」
大きな病院の裏の方に車を止め、車から降りると降谷さんは建物の裏に回った。
裏口から入って、管理人さんに、手帳なようなものを見せると少し薄暗い廊下を進んだ。
「降谷さん?」
「ん?」
「もしかしてさっきの警察手帳?」
「あぁ。」
「降谷さんも持ってたんですね。」
「あまり持ち歩かないがな。」
前を歩く降谷さんの背中に私は少し近づいた。
「見たいなーなんて。」
「手帳を?」
「写真を。」
「…別に構わないが。ほら。」
ポケットから取り出し、パカッと開いてくれた。
「青い服着てるっ。警察の制服!?」
「あ、あぁ。」
「……。」
かっこよすぎて言葉が出てこなかった。
スーツ姿の写真かなって思って見たから、あまりの不意打ちだった。
写真に収めることはもちろんできないから、じっと凝視して目に焼き付けた。
「もういいか?」
「あ、はい。またたまーにでいいから見せてほしいなぁ…なんて。はは。」
「……。」
その無言はどういう意味なのかわからなかったけど、あの表情からするに呆れているんだろう。