第118章 右腕
朝ーー、コーヒーのいい香りと頬を撫でる温かな何かに気がついて、目を覚ました。
「おはよう、めぐみ。」
「…ん…ぅ…いたっ。」
背中がピキっときて、私は顔をしかめた。
「…悪い、無理させた。」
「悪いとは思ってても反省してないくせに。」
「きっとまた繰り返す。悪い。」
「背筋が筋肉痛…」
肘をついて起きあがろうとしたら、体のいたるところが重い…。
昨日、降谷さんの腕と脚が乗っかった状態で寝ていたのも原因だと思う。
「両腕縛ったまま無理にお尻上げさせたのがダメだったか?」
「…っ!」
私は恥ずかしくて、足をふとんから出すと足の裏で降谷さんの太ももをゲシッと蹴飛ばした。
「ばかっ!」
「ははっ、ほら。コーヒー入ったよ。抱っこしてあげる。」
「大丈夫ですっ!」
布団を手繰り寄せ、ベッドから起き上がると、私は服を探した。
「…おはよ、降谷さん。」
「あぁ、おはよう。」
なんだか照れ臭くて、ぽそっあいさつをすると、にこやかに返してくれた。
服を着てキッチンに向かうと、いい香りが漂ってきた。
「すごい、フレンチトースト?」
「あぁ、食べられるか?」
「うん、好き。」
綺麗な焼き目のついてフレンチトーストに、ベーコンとサラダが添えられていてとても豪華だった。
「ホテルみたい。」
「流石にそこまでじゃない。」
「美味しそう。私寝ててごめんね。」
コーヒーのカップを運ぶのを手伝いながらそう言うと、降谷さん首を振った。
「いいんだ。僕が好きでやってるし、昨日の夜めぐみには無理させたから。お陰で僕は大満足だ。」
「…よかった…ですね。」
なんて言って返せばいいのかわからなくて適当に返事をしてしまった。
本当に満足したように、降谷さんはにこにことずっと嬉しそうだ。