第117章 家にて
嬉しくて泣いている私の涙を、降谷さんはティッシュで拭いてくれた。
「私馬鹿だし、すぐ怒るし、口悪いし。」
「うん、知ってる。公安野郎に悲劇気取りだもんな。」
「…ごめん。」
「事実だ。」
ふふっと笑って、私の頭を撫でてくれた。
「秘密の多い降谷さんをどうやって支えたらいいのかわかんないけど、疲れたら膝枕してあげたい。怪我したら手当してあげたい。ツラい時は抱きしめたい。」
「…うん。」
「あんな風に別れを切り出されたけど、降谷さんのことばっかり考えてた…。」
「自分のことだけで、めぐみの気持ち考えてなかったな。悪かった。」
私は目の前の降谷さんの膝をぐーで叩いた。
「本当だよ!ばかっ!…ばか。」
「ごめん。」
降谷さんは私の手首をひき、腰に手を回して来た。
強く抱きしめられ、私も降谷さんの背中にゆっくりと手を伸ばした。
「一生懸命な降谷さんを支えたい。」
「僕はこんな仕事してるから、きっと寂しい思いをさせる。」
「うん。」
「帰ってこれないこともあるし、連絡が途絶えることもきっとある。」
「うん。」
「一番優先させることは、めぐみじゃなくて仕事になる。」
「うん。」
「そのくせ独占欲があるから、めぐみを独り占めする。」
「うん。」
「めぐみ相手になると、縛ったり目隠ししたり、嫌がるのを無理矢理して、泣かせたくなる。」
「…うん?」
「そんな僕でも、そばにいて欲しい。」
抱きしめる力が弱まり、近くで見つめ合った。
「最後のちょっとよくわかんない。」
「一番重要だ。」
ふふっと笑い合っておでこをこつんとあてた。
「私からはひとつだけ。」
「なんだ?」
「服は私が買う。」
私がそういうと降谷さんはクスッと笑った。
「妬きもち可愛い。」
「うるさいっ。怪我の手当ては…仕方ない。服はダメ。私の服着て。」
「了解。」
そう言って、私の顎に手を添えると、久しぶりのキスをした。