第11章 傷
今日は私が午後からだったから締めの作業とかは私が終わらせた。
梓さんはすでに夕方には帰った。
6時になってお店を閉め、バイト3人分のお給料の計算を始めた。
安室さんに至っては早退もあるため計算が複雑だ。
安室さんが来る前はシフト通りだったから簡単だったのに…
代わりに急に入ったりとかで、めんどくさい。
「はぁ…安室さんのばーか。」
「酷いですね。」
「…っっ!!ぎゃあーーー!」
「そんな大声出すと上の毛利先生やコナンくんに通報されますよ。」
「あ、あむ…あむろさっ!」
後ろを振り向くと、裏口に安室さんが立っていた。
「こんな遅くまでなにしてるんです?」
「え…鍵かけてたよ…ね?」
「はい。ちゃんとマスターにいただいた鍵であけてきましたよ。」
「ちゃんと音立てて入ってくださいってば。」
あまりに驚いて未だに心臓がバクバクしている。
なんでこういつも後ろからこっそり来るんだろうかこの人は。
「で、何してるんですか?」
「お給料の計算です。早退、急なシフト交代で計算が前より複雑になったので。」
「…それは僕のせいですね。」
「はい。」
すみません。と謝る安室さんだけど、全然反省する態度じゃない。
「…で、何か忘れ物ですか?」
なんで安室さんは来たんだろうか。
裏口に立ったままの安室さん。
「いえ?別に。」
「…?また怪我でもしました?」
「はい。」
「え!?怪我したんですか?」
冗談のつもりで言ったら、本当に怪我をしていたようで、私は椅子から立ち上がり救急箱を取り出した。
「ほら!座ってください。」
ソファに促すと安室さんはゆっくりこちらに来た。
「どこですか?大丈夫?」
さっきから元気がないのは怪我のせいなのだろうか。
いつもどこか流血して痛々しいから今回もきっと痛むのかもしれない。
安室さんは座ると、私に右手を見せてきた。
「…ん?どこ?」
「ここです。」
安室さんの手を取り言われた指先を見た。
そこには確かに小さな切り傷。
「…ん?」