第11章 傷
「いらっしゃいませ。昨日はありがとう、2人とも。」
「こちらこそ一緒に行ってくださってありがとうございました。」
「めぐみさん!母から写真送られて私驚いたわよ!なにあれ!誰よ!」
「…えっと…とりあえず座って。」
どうやら、今日は写真の相手は誰なのかってことを聞くために来店したらしい。
さすが高校生。
こんなどうでもいい私なんかでも、色恋に関しては気になるらしい。
バックヤードにこもって在庫確認したりしようと思ったのに、たぶん難しいだろうな。
「ご注文は?」
「オレンジジュース二つ!」
園子ちゃんは逃さないぞ!とでも言うように鼻息荒く私を見ている。
梓さんに用意してもらって私が持って行くことになった。
「私も気になるから横で聞いてるね」
と、意地悪そうに笑う梓さん。
そんな期待して悪いけど、本当になにもないんだけどなぁ…
「で。誰よ。このキスした相手!私は参加者リスト持ってるんだからね!」
「みんな誤解してるようだけど、キスしてないってば。そう見えるだけ。」
「えー!うそだーこの手!めぐみさんの腰と顔にあるわよ!」
「酔って踊って暑くなったらバルコニーに出たの。確かにいい雰囲気にはなったけど、キスはしてません。」
「いい…雰囲気!?」
高校生にはこれで大興奮なのか…。
園子ちゃんと蘭ちゃんは顔を真っ赤にした。
「この人のことは全然知らないし、これ以上合う予定もないよ。踊っただーけ。おしまいっ!」
オレンジジュースをどんどんっと置いて私はこれ以上離さないという意思表示をした。
「園子、めぐみさんの言う通りだよ。確かにこの写真からじゃ本当にキスしたのかわからないよ。」
「うんうん。」
「いい話聞けると思ったのにー。」
「あ、恥ずかしいから私の写真は消してくれると嬉しいな。」
そう言って、私はさっさとその場を後にした。