第116章 気持ち
私はバイクを真っ直ぐ走らせた。もうすぐ犯人と対峙する筈だ。
「………。」
「めぐみ、聞いてるのか?」
「……………。」
「おい。」
「き、聞いてないっ!聞こえない!」
「なんでだ。」
至極不愉快だとでも言いたげな声色の降谷さん。
さっきなんて言った!?
聞き間違えじゃないよね!?
「いや、ちょ…えぇ!?今!?」
「なにがだ。」
「今、犯人追跡中ですよね!?バイクだし…それに…あっ!通話切ってますか!?」
さっきの言葉を全員に聞かれたのか心配だ。
「ミュートにしてる。僕の一世一代の告白聞いてないとは言わせないぞ。」
「タイミング!」
グッとさらにお腹に回ってる降谷さんの手に力込められ、私もハンドルを握る力が強くなった。
「めぐみの好きなバイクに乗りながらだ。」
「全然ロマンチックじゃない!」
「…。」
「めぐみ。」
インカム越しの声。
「だ、だめ!まって!」
「わかった。後でゆっくりもう一回言う。」
「えっ!?」
「僕の気持ち。後でもう一度聞いてほしい。」
「〜〜〜!!もう!バカ!なんで今なんですか!」
「言うタイミング無いだろう。」
「離れていく時だって突然だったし…!考えてるようで、実は何も考えてないでしょ!」
右手だけだった降谷さんの手が両手になった。
ぎゅっと後ろから抱きしめられた。
「後悔した…。もう離したくない。」