第113章 序章
その2日後。
私はポアロでパソコンをしていた。いつも通りだ。
梓さんは今ちょうどトイレ掃除をしていた。
お客さんは入ってなくて店内はとても静かだった。
あれから特に進展はない。
まぁ、まだ2日だしそんなに早くことが進むとは思ってない。
ブーブー
仕事中に電話がかかってくるなんて珍しい。
知らない番号だった。
「んー?」
スマホ画面を睨み、私は恐る恐る電話に出た。
「はい。」
『あー、めぐみか。今日会う約束をしてたんだが…、ごめん。仕事でいけなくなった。』
「…?」
『結構立て込んでてしばらく泊まりになりそうなんだ…。約束破って悪い。埋め合わせはする。』
ーーー風見さん?
私は黙って彼の声を聞いた。
私を呼び捨てで呼ぶことなんてない。
こんな話し方もしないし、約束も身に覚えがない。
…なにかあったーー…?
「あ、裕也ー?ごめーん!今料理してて…音がうるさいからちょっと待ってね!」
私は急いで立ち上がり、梓さんの元に走った。
梓さんにジェスチャーで携帯を借り、携帯のボイスレコーダーを起動した。
しーーっと梓さんには声を絶対出さないよう指示し、携帯をスピーカーに変えた。
「ごめんごめーん!今ちょうどお客さんに料理作ってて。裕也、何何?約束の時間の変更?」
『いや、悪い…めぐみ。仕事でいけそうにないんだ。立て込んで。しばらく帰れそうにもない。』
「えー、またー?そんなに大変な仕事なの?他の人に頼んでよ。」
『自分にしか出来ないんだ。他の人にもしばらく帰れないと伝えといてくれ。めぐみ…すまない。好きだよ。』
「もー、仕方ないな。私も好きだよ、裕也。」
『じゃあ。』
「また連絡ちょうだいね。」
ブッと、電話が切れた。
梓さんの携帯のボイスレコーダーの録音も止めると私は考えた。
「めぐみちゃん…今の…誰?」
「ごめん…梓さん!私急いで行かなきゃ!!今の録音したやつすぐに私に送ってくれる!?今すぐ!」
「えっ!?わ、わかった!」
私はパソコンを閉じ、急いで裏口に回った。
教えなきゃ…安室さんにーーいや、降谷さんに。
風見さんが危ないって!