第112章 寂しさを
安室さんが好んで使ってるコインパーキングが近くにいくつかあるので、私はそこに向かった。
「あ。まだいた、よかった。」
白い愛車。
離れていても目立つ彼の車に私は近づいた。
「……っ!?」
少し離れたところから人影が見えたから、目を凝らさしてみると助手席に人が乗っていた。
黒い髪。
ズキズキと胸が痛い。
俯くローラさんの肩に手を置き、すごく真剣な表情で何かを言っている降谷さん。
久しぶりにみる、安室さんじゃない降谷さんの顔ーー…
その視線の先には涙を流すローラさん。
ふたたび俯いたローラさんの肩に優しく手を添え、彼女を覗き込んでいた。
ーー…まるで。
ズキンっ
一歩下がる。
ぎゅっと持っていたクッキーを握りしめて、そこから立ち去ろうとしたら、顔を上げた降谷さんと目があってしまった。
ーー…だめだっ、逃げなきゃ。
クルリと来た道を戻ろうと駆け出した。
「めぐみっ!」
後ろから聞こえる降谷さんの声。
車を閉める音が聞こえたが、私は気にせず走った。
「はぁっ…はぁっ…」
「めぐみっ!」
肩を掴まれ振り向かされた。
「…あっ……ごめんなさい。あの…」
「違うっ!彼女は…!」
ちがう?
何が…?
「ーー…仕事で悩みを聞いていただけで…」
「…何を言いたいのかわかりません、安室さん。私はこれを届けようとしただけです。」
降谷さんは私の肩から手を離し、私の手から女子高生からの贈り物を手に取った。
貰ったことを思い出したようだ。
「ー…クッキー。あ、すまない。」
「いえ、では。“探偵業”頑張ってくださいね?」
「めぐみーー……。えぇ、そうですね。頑張ります。わざわざすみません。めぐみさん。」