第112章 寂しさを
毎日笑顔で乗り切った。
泣いてたって仕方ないし、降谷さんを責めるつもりは微塵もない。
(ちょっとローラさんはムカつくけど…彼女だってたぶん新人として必死に公安らしく頑張ろうとしてるだけだ)
「お疲れ様でーす!」
お昼過ぎまでだった安室さんを見送り、ふぅっと息を吐いた。
普通に出来てるはず。
「…ねぇ、本当に別れちゃったんだね。二人とも普通過ぎて逆に見てて辛いよー…」
パソコンをぽちぽちしていると、梓さんがバックヤードにきてそう言った。
「んー?そう?」
「めぐみちゃん平気?」
「…全然大丈夫か?って聞かれたらそれは流石にまだ立ち直れないけど…」
そんな簡単に忘れられるわけがない。
「意外と乗り切れそう。」
降谷さんだって私を嫌いになって離れたわけじゃないんだ。
「…めぐみちゃん。」
梓さんのほうが何故か辛そうな顔をしていた。
「あ、安室さん忘れものしてる。」
「えっ?」
「女子高生からの差し入れなんだけど…」
梓さんの手には手作りであろうクッキーの入った袋が乗っていた。
多分安室さんのことだから人の手作りを食べたりしないだろうけど、だからといってわざと忘れたり、分かりやすく捨てたりはしない筈だ。
「まだ出て行ったばかりだよね。まだ近くの駐車場にいるかも。私届けてくるよ。」
「えー?私行こうか?」
「梓さんはお店お願い。すぐそこだし居なかったら諦めて帰ってくるよ。」
「じゃあ、お願い。」
私は梓さんからクッキーを受け取ると、裏口から少し急いで出た。
チョコやバニラのハート型のクッキーが、可愛い包装紙に包まれてある。
安室さんを想って作ったんだもの、ちゃんと渡してあげよう。