第111章 笑顔で
なんとなくむかついて私はにっこりと笑った。
「なんか、仕事増やしてしまってすみません。せっかく買ってもらったのに…なんか勿体無いですね。」
「いえ、もう不要でしょう?」
見つめ合う二人。
「ひとつだけ、貴方が買ったものがあったのでお持ちしました。」
「…?」
差し出されたのは降谷さんのために買ったヘルメットだった。
『僕のも買っとけ!』って言われて買ったダサいデザインのヘルメット。
「…面白いセンスのヘルメットですね。お返ししますね?」
「どーも。」
黒いフルフェイスに黄色い焔の絵が描かれていて、私でもダサいと思ってる。…わざとだし。
「私は高橋さんの後任で風見さんと一緒に降谷さんのサポートと他の公安の捜査官との連絡係をしています、黒田ローラと言います。」
「…髙橋さんの。」
コータさんの後任。前言ってた新人さんは女性のこの人だったのか。
「私ども“公安”は貴方たちのような“一般市民”を守るために日々働いています。」
「…はぁ。」
つい、適当な返事をしてしまった。
まぁ、一般市民ですよ。わきまえてますよ。
「なので、どうか降谷さんの邪魔はなさいませんように。」
「…邪魔。っすか。」
「ご安心ください。貴方が気にしていた、傷の手当てやその他のサポートはきちんと味方内でしますので。」
その他のサポート…って?
癒すってこと?
「降谷さんにご満足いただけるといいですね。」
私がそういうと、ふっとまた鼻で笑った。
「えぇ、貴方の代わりはいくらでも。」
そう言って、くるりと私に背を向け、颯爽と去っていった。