第111章 笑顔で
梓さんの変わらない笑顔と態度は今はすごく嬉しかった。
午後は安室さんも出勤予定だし、私は自分のやることをしたら今日はあがりだ。
コナンくんが学校が終わった3時くらいに阿笠さんの家で約束もしている。
コナンくんには勢いで全てを話してしまったが…大丈夫だっただろうか。
私が初めから知っていて、話になっていると聞いて傷ついたりしていないだろうか…。
でも、私がどうやってこの世界に来てしまったのか、コナンくんと哀ちゃんが調べてくれるというのは心強い。
「じゃあ、梓さんお疲れ様ー!お店ありがとう!」
「ううん、早く足治してね!」
「治ったらバリバリ働くね。」
「待ってる!」
ちょっと早めにお店を出た。
今は安室さんに会いたくなかったから。
どんな顔をしたらいいのかも、何を話したらいいのかも全然わからない。
表の大通りでタクシーを拾おうと、ひょこひょこ歩きながら裏口を開けた。
コツコツと響くヒールの音。
そちらを向くと、ポニーテールにした黒髪をなびかせ、スーツをキリッと来たあの女性捜査官、ローラさんがこちらに向かって歩いてきた。
「…。こんにちは。先日は着替えをありがとうございました。お代支払います。」
「いえ、経費ですのでお気になさらず。それより、私の言葉を聞いてくださったようで。感謝いたします。」
「わきまえろって言葉ですか?」
「えぇ、降谷さんはお忙しいですから。」
ニコリともしないローラさん。
背が高く、ヒールのせいで私を見下ろしている。
「あの…何の用ですか?」
「先程安室さんの家で片付けをしてました。」
ーー…わざわざ私に言うことか。
「貴方の私物は安室さんが買ったものが殆どだそうですね。」
パジャマに歯ブラシに下着に…全部安室さんがいつ来てもいいって買ってくれたものだ。
「…はい。」
「こちらで処分させていただきますね。」
たんたんと話していく顔に悲しみというより苛立ちが勝ってきた。
ローラさんは余裕のある表情だ。