第110章 誘拐
誰もに言ってこなかった。
この世界に来てから、誰にも。
お世話になった父代わりの孝臣さんにも。
組の人やマスターも。
安室さんにも、赤井さんにもーー…。
ずっと何年も言わないままだった、私の秘密。
「……は?」
コナンくんは口から漏れる小さな声をあげるだけだった。
「5年前に薬を飲まされて、体が消えたの。」
「……ん?」
「そしたら全然知らない場所に来ちゃってて。」
「…待ってよ。色々待って。」
「ーーごめん。」
頭を抱えて、疑うようにわたしの顔を見つめるコナンくん。
「…コナンくんが工藤新一くんってこと。知ってるの。初めて会った時から。」
コナンくんの目の色が変わった。
「誰に聞いたの!?何で知ってるの!?」
「私の小さいときに、私の世界ではそう言うお話があったの。頭のいい高校生が薬を飲まされて身体が縮んでしまったって。小さくなった男の子が色々な事件を解いていくってお話。」
「…はなし?」
「うん。」
コナンくんは誰かに書かれた漫画の登場人物なんだ、主人公で作られたものなんだよ。なんて、言い方をしてしまうのは、あまりにもコナンくんの気持ちを無視していると思って、私は頑張って言葉を選んだ。
「小さい頃に見ただけだから、人のことはわかるくらいでお話は全然知らないの。」
「…何を知ってるの?」
「もうコナンくんには全部包み隠さず話すよ。ーー…秘密にするの疲れちゃった。」
「約5年前ーー…私が薬を飲まされて、身体が消えて、次現れたのはコナンくんもよく知ってる黒の組織のところだったの。」
「なっ!?組織のことも!?」
「うん、何か暗い部屋でモニターがあって話をしていた。ジンとウォッカとベルモットのあと1人ーー、」
「誰…?」
「それがーー…思い出せないの。始めてみる顔だったし、一瞬だけだったから。多分男の人だったと思うけど…でもそれ以降目撃者として、ずっと追われてる。」
「追われてるの…?」
「うん、捕らえるか殺せって言われたから。」