第108章 腕まくら
本当はお腹に巻かれた包帯も私が巻き直したいって思ってしまう。
さすがにそれはあまりに醜いから言わなかったけれど。
上半身裸をその人に見せたわけだし、やっぱりもやもやする。
私はその包帯のあたりをゆっくりと撫でた。
「もしかして、部下に妬いてるのか?」
「…別に。」
「会ったのか?」
「…。」
「お仕事ですから、やきもちなんてしてませんっ!」
「…ぷ。可愛いなぁ。ほらおいで。」
「馬鹿にしないで…妬いてない。」
「嘘。あいつはそんなんじゃないから安心しろ。気の利くいい部下なだけだ。」
…あいつ。
だけど、彼女の方はそう思ってない。
私にわざわざ会いにきたり、新品の服を見せたりしてくるような人だ。
「自分だって赤井さんにやきもち妬いたくせにっ」
「なっ!一緒にするな!俺はローラとキスはしてない!仕事上の関係だ!」
「ロロロロローーーラ!呼び捨てっ!風見さんは『風見』って呼ぶくせに!私だって『秀一さん』とはそんな関係じゃありません!」
「おまっ!しゅっ…!しゅっ!?ローラの苗字が上官と偶然同じだから俺は仕方なくそう呼んでるだけだ!」
「嬉しそうに服着ちゃって!」
「いつもと同じだろ!」
「怪我だって…、私が手当てしてたのに…」
「…それは。」
「降谷さんは私のだもん!」
「……っ!」
……。
咄嗟に自分が言ってしまった言葉に顔がどんどん赤く熱くなっていくのがわかる。
降谷さんも目を大きく開け、少し顔が赤い。
「あのっ…ちが…」
「めぐみ…お前…本当反則すぎる。」
降谷さんは私を抱き上げると、ダイニングテーブルに座らせた。
「ごめんっ…そんなあの…別に束縛とか…そんなつもり…」
「わかってる。」
「別に私のものじゃないのに…は、恥ずかしい…」
「わかってる。めぐみ。僕はいますごく嬉しいから。」
ーー…嬉しいの?
恋人でもない私がこんなこと言って……。
「それに、そう言ってくれたのは2回目だ。」
「えっ!?言ってないよ!」
「あるよ。休暇中にね。いいよ、思い出さなくて。僕がちゃんと覚えてるから。」
そう言って、降谷さんは私に優しく口付けた。