第106章 あれから
「バーボンが組織として数日後に乗り込めば、一瞬で片はついたかもしれません。」
「…。」
「しかしバーボンはもちろん警察に協力や通報はしませんから、さらに女性たちの救助は後になっていたはずです。めぐみさん、貴方は気を失っていましたが、女性たちの中には、薬のせいで危なかった人や、精神的に限界な女性もいました。」
「そうなんですか?」
私は顔を上げ、風見さんを見た。
「彼女たちからしたら、1日でも、いや、1分でも1秒でも早く救われたかったはずです。」
「…はい。」
「それに、井ノ原町のお店のことも聞き出してくれた。貴方のおかげです。」
膝に置いていた手をぎゅっと握り締めた。
「あの日の夜はもう必死で、助けたいって気持ちだけで動いてたんです。」
「はい。」
「でも、降谷さんには心配かけちゃうし、迷惑もかけて、邪魔をしてってあとになってずっと後悔してた…風見さん。ありがとうございます。」
「降谷さんがあんな表情をするのはきっとめぐみさんにだけでしょう。」
「…?」
「それにFBIの赤井さんと行動を共にするなんてことも、きっと貴方がいたから。」
「…はは。」
ずっと言い合ってたけど。
「安室透ではなく、降谷さんが冗談を言ったり、焦ってたり、優しく笑ったりなんてことは、自分は見たことがありません。」
「…。」
風見さんの言葉を聞いてどんどんと胸が熱くなる。
「“警察庁”の降谷零が、“人”としての降谷零になれる場所は必要です。自分はめぐみさんは絶対に必要な人だと思っています。なので、まぁたまには心配かけて迷惑をかけるのも必要なことだと思いますよ。」
薬打たれて心配かけるのはやりすぎですが。と、風見さんが言った。
「…ありがとうございます、風見さん。」
「早く降谷さんの仕事が落ち着いて、腕まくらできるといいのですが。」
「ぎゃっ!!!聞こえなかったふりしてくださいっ!」
「無理です。」
くいっとあげるメガネをかち割りたくなるから、真顔で言うのはやめてほしいっ!