第103章 鬼頭
そんなに大きくないビル。
どっちー!?なんてキャサリンは言いながら薄暗いビルの中を進んだ。
「そう言えばユメちゃん、仕事辞めてきた?」
「うん、電話でだけど…」
「私もー!お店も二人抜けるの焦ってたけど、私としてはやっとって感じ!」
「よかったね。」
「うん!あ、エレベーター動いてるよ!乗ろう!」
私とキャサリンは狭いエレベーターに乗り込み、5階ボタンを押した。
小さな明かりだけがところどころついていて、薄暗い廊下。
キャサリンは怖くなってきたのか私の腕にしがみついてきた。
「あ、あそこ電気ついてるよ!」
キャサリンが指差した先の部屋の隙間から明かりが漏れていた。
キィーーっとドアを開けると、男性が一人パソコンの机に座っていた。
「やぁ、時間通りだね。暗くてすまない…この時間は仕事のみんな帰ってるからね。」
「いえ、よかったです!鬼頭さんがいてくれてー!」
嬉しそうにキャサリンが小走りで鬼頭に近寄った。
「さっそく仕事の話をしようか。夜も遅いしね。」
「うんっ。」
「はい。」
私も部屋に入り、鬼頭に近づいた。
気づかれないように、ポケットの中の探偵バッチのマイクをオンにした。
これで、私たちの会話は赤井さんに聞こえるはずだ。
「すまないが、一応面接のように話を聞いてどの仕事が適任かみたい。一人ずつ話をしようか。キャサリン、少し外で待っててくれるかい?」
「え…廊下暗い。」
「大丈夫すぐ済むから。先にユメさんと話をするよ。」
キャサリンは頷くと、早めに終わらせてね、と言い、廊下に出て行った。
「こんばんは、鬼頭さん。」
「怯えてるね。」
「…暗かったし、面接って言うから…」
「色々仕事があるからね、ユメさんに合う仕事がいいだろう?」
「…はい、ありがとうございます。」
パソコンの明かりが暗い部屋には眩しくて、その前に立つ鬼頭がより不気味に見えた。