第103章 鬼頭
私とキャサリンはビルの近くにいた。
鬼頭に変に警戒されても困るから、地味になるのは辞めておいた。
キチンとメイクして、ショートパンツに少しダボついたシャツ。
髪の毛はポニーテール。
いかにもキャバ嬢のオフって感じにしておいた。
「ちょっと緊張するねー!どんな仕事なんだろー。」
まったく警戒心のないキャサリン。
うきうきと嬉しそうに指定されたビルに向かって歩いていた。
「嫌な仕事だったらどうするの?」
「えー?鬼頭さんだよー?あの服や時計見たでしょ?IT関係か外資系ね。」
「…。」
ダメだ、この子。鬼頭を信用しきってる…。
でも、フラフラっとしてるからこそ、鬼頭も安心して話してくれるかもしれない。
私はショートパンツのポケットにあるバッチに手を触れた。
工藤邸を出る前に赤井さんに渡されたものだ。
…探偵バッチ。
コナンくんや子供たちが使っていたのを記憶している。
『博士からいくつか借りた。一つ持っておくように。近くに俺が待機している。ちゃんと見守ってやるから安心しろ。』
キャサリンと落ち合う前に赤井さんにそう言われた。
今回の目的は鬼頭に会って、
どうやって女性達を連れて行っているのか。
何処に連れて行っているのか。
を聞き出すのが目的だ。
欲を言えば、今連れ去った女性が何処で何をしているのか知って助け出したいが…
「ユメちゃん?顔怖いよ?大丈夫?」
「…あ、ごめん。大丈夫、緊張してただけ。行こうか。」
約束の時間だ。
高層ビルが立ち並ぶ中、8階建のビルがあった。
そんなに新しいわけでないが、少し薄汚れた暗いビルだった。
ここの5階…。
「なんかちょっと怖ーい。」
私が少しビビってビルを見上げていると、キャサリンが場違いな声色でそう言って、正面から入って行った。
…一人だったらちょっと怖かったかもしれない。
彼女の明るさが少し救いだった。