第102章 あの時の梓さん
朝、ポアロの開店準備をしていると、裏口から安室さんが入ってきた。
「…安室さん。」
「すみません、開店準備僕も手伝うので、あとでめぐみさんに相談した内容を教えていただけますか?」
「…はい。」
少し疲れた感じに見えて、私は最初から安室さんにも相談すればよかったと後悔した。
二人で開店準備をしたのであったいう間に終わり、開店時間までの間バックヤードのソファに向き合うように二人で座った。
「私が最初にめぐみちゃんに相談したのがきっかけです。」
「…。」
私の友達の友達が子供をおいてキャバクラから行方不明になったこと。
他の女性はキャバクラからソープやもっと酷いお店に売られたこと。
警察にも探偵にも相談したけど、そんなに進展していないこと。
ポアロの常連だから、男性の安室さんには内緒にしてほしいこと。(友人が安室さんに惚れていることは伏せておいた)
私と一緒にキャバクラに潜入しようと提案したけど、めぐみちゃん一人で行ったこと。
安室さんに話した。
「…そうだったんですね。」
安室さんのぎゅっと拳を握る手に力が込められていることに気がついた。
ーー…怒ってる?
安室さんは俯いていて表情が見えなかった。
「ごめんなさい。めぐみちゃんを巻き込んでしまって。ちょっとキャバクラに行って、怪しい人いないか何か情報がないか調べてそれを警察に渡そうと思っただけなんです。」
「…いえ、梓さんを責めてるわけでは…」
顔を上げ、私ににこりと笑ってくれた安室さん。
寝不足で少し疲れているように見えた。
「危ないからめぐみさんを引き止めようとしたんですけどね、正義感が強すぎるせいか…逃げられてしまいました。」
安室さんにこれ以上調べるなって言われてめぐみちゃんは逃げたのか。
「めぐみちゃん、女性を食い物にするやつが許せないって言ってました…。」
安室さんは一瞬だけ眉間に皺を寄せ、すぐいつもの表情に戻った。
「正義感が強すぎるのもものですね。困った子です。」