第101章 フレンチ
ザッと材料を炒めていると、横に昴さんがやってきた。
「いい匂いですね。」
「…っ!あの…!向こうで待っててください!」
狭いキッチンでは逃げられない。
「料理中の貴方に手を出したりしませんよ。危険ですから。」
「…!」
「それにこれ以上は本当に嫌われそうだ。」
少し離れたところで笑みを浮かべる昴さんを見た。
「…嫌いになったりは…しないけど……でも、やっぱり私は。」
「ストップ。」
「…。」
「今は聞きたくないですね。」
わしゃっと私の頭を撫でると昴さんはキッチンから出て行った。
私はそれ以上は何も言わず、パスタ作りを再開した。
昴さんは本当に私なんかを好きでいてくれるんだろうか…
最初は揶揄ってるだけなのかとも思ったけど。
以前抱きしめられた時の赤井さんの顔と、今頭を撫でいった時の表情を思い出し、ぐっと胸が締め付けられた。
お盆に二人分の食事を乗せ、インターホンを鳴らす。
「おぉー!めぐみくん!」
「先程はありがとうございました。」
「いやいや、ほれ、入っとくれ。」
「はい、お邪魔します。」
博士の案内で中にはいると、パソコンの前でなにか作業をする哀ちゃんがいた。
「こんばんは!哀ちゃん。」
「えぇ。」
「沢山買ってきてくれてありがとう。急にごめんね。」
「べつに構わないわ。」
パソコンの手を止め、私の方に来てくれた。
「これ、夕食によかったら。一応毎日お客様に提供してるから、味の保証はするよ。」
「ありがとう。」
私はテーブルにパスタとサラダとスープを置いた。
「博士さんもどうぞ。」
「わしのまですまんな。」
「いえ、足りなかったらおかわりありますので。」
「ダメよ。博士はおかわり禁止。」
「哀くん…。」
テーブルに並べると、温かいうちに食べてもらおうと私はすぐ帰ることにした。
「もういくの?」
「うん、昴さんのご飯もあるから。またあとで食器取りにくるからそのままでいいからね。」
そう言って、私は急いで工藤邸へと戻った。