第100章 赤井さん
私は疲れてぼうっとコーヒーを眺めた。
胃が痛くて全部飲めそうにない。
なんだか急に目が回ってきた気がする。
「めぐみ。今日は俺のベッドを使え。」
「…へ?」
「客間はすでに俺が使ってるし、家主のベッドを勝手に使うわけにもいかないだろう。明日、家主に聞いておくから今日は俺のベッドを使え。」
「赤井さんは?」
「少しやることがある。だから、ベッドはめぐみが使えばいい。」
…男性の部屋の男性のベッド…?
『男の家には…泊まりに行くな。頼むから。』
以前、温泉旅行に行った時に降谷さんに言われた言葉を思い出した。
いやでも、今回は不可抗力だし…
一緒に寝るわけじゃない。
それに…ずっとお昼と夜の仕事でちょっと疲れちゃった。
「…お言葉に甘えてもいいですか?」
「あぁ。案内しよう。」
私は椅子から立ち上がろうとした。
しかし、足に力が入らず、その場に崩れそうになった。
「おっと。」
「すみませ…っ!」
「相当きてるな。」
「安心したからかな…自分でもびっくり。はは。」
床に手をつく瞬間赤井さんが手を差し伸べてくれた。
その腕にぐっと縋り付くように立ち上がった。
「無理して笑わなくていい。」
「……別に無理は…」
「めぐみ。」
「…っ。」
「彼からこうやって逃げる事にまだ迷ってるんだろう。」
裏切ってるみたいだった。
嘘をついて、潜入してる彼の邪魔をしてーー…。
赤井さんの顔が見れなくて、私は下を見た。
涙が床に落ちてしまった。
「それでも……今も苦しんでる女性たちすぐにでも助けたい…!」
「…わかった。君に協力しよう。」
涙を流す私の肩を赤井さんはそっと引き寄せた。