第98章 遭遇
私が席で飲んだドリンクのバック代(稼ぎ)はキャサリンちゃんに後で払うことを条件に、私もこっそりキャサリンちゃんに仕事を紹介するというお客さんの席につかせてもらうことになった。
こんなトントン拍子にことが進むとは思わなかった。
次の日、早速男性が来店するというので、私はキャサリンちゃんの後ろについていた。
服はそんなにたくさん買えないので、前と同じだ。
あまり服を変化させないのも印象に残ってもらうためのものでもあった。
お金がないという印象をつけさせるために。
「いこ。ユメちゃん。今日来てるから私指名入ってるの。」
開店と同時に入ってきた男性。
キャサリンちゃんの後ろからチラリと見ると、メガネの日本人だ。
背が高い。
すごく真面目そうなごく普通のサラリーマンに見える。
だが、着ているスーツはピシッとしていて品があるし、付けてる時計はとても高級そうだった。
「こんばんは、鬼頭さん。」
きとう。彼の名前か。
「やぁ、キャサリン。また君に会いにきたよ。」
「嬉しい、ねぇ、今日は新人のユメって子も一緒にいい?お話したいんだって。」
「私と?もちろん、構わないよ。」
優しげに微笑む鬼頭という男。とても、人を騙すようには見えなかった。
しばらくキャサリンちゃんと鬼頭さんが楽しげに話したりしていると、キャサリンちゃんが私をチラリと見た。
「ねぇ、鬼頭さん?」
膝の上に手を置いて、キャサリンちゃんが上目遣いで話を切り出した。
「なんだい?」
「この前教えてくれた例のやつ…、私とユメにもっと教えてくれない?」
「それは構わないけど、前言った約束は守れるかい?」
「もちろん!」
約束…?
聞いてない。
「ユメちゃんも、守れる?仕事を紹介してあげるけど、私のことは誰も話さない。ちゃんと、仕事を辞めてからくる。この二つ。」
ずっとにこやかに話していた鬼頭さんだったが、急に真面目な表情になり、私をじっと見つめてきた。
私はドキドキとしながら、こくんと頷いた。
「うん。約束が守れるならいい仕事はいくらでも紹介してあげるよ。とってもいい、稼げる仕事をね。」