第98章 遭遇
「今日も、綺麗。」
「ケビンさんに合わせて着ちゃった。今日も来てくれるかなって思って。」
私はすぐにケビンさんの右側にピッタリと腰掛けると、すぐにお酒を作り始めた。
「あれ?お酒の種類変えたの?」
「今日の気分、変わった。」
「お酒詳しくないから…メーカーが違うのかな?」
お酒の勉強をしなくちゃと思いながらも、まだまだよくわかっていない。
球体の氷をグラスに入れ、ウイスキーを注ぐ。
彼に手渡しすると、ぐいっとそれを口に入れた。
「これバーボン。前、スコッチ。」
「今日はバーボンの気分だったの?」
「そうだ。」
色も大して変わらないし、香りもよくわかんない。
飲む人にはわかるんだろうけれど…。
「ユメ、何飲む。」
「私は……」
何か甘くて、アルコール度数の低いものを…と、考えていたら、黒服のボーイがカーテンの前で声をかけてきた。
「失礼いたします。お連れのお客様がいらっしゃいました。」
「…わかった。」
来るなと言った。…私にしか聞こえない小さな声でケビンさんは文句を言った。
…お連れ様?
ケビンさんが誰かと飲むのは初めて見る。
誰だろうか。
裏の社会の会話を聞けるかもしれない…。
女性を連れ去った事件の何かをーー…。
ドキドキしつつ、私は座って黙って待っていた。
カーテンの向こうに誰か来たと思った瞬間、ケビンさんは服の中から出したサングラスをかけた。
丸いサングラスだ。
「お前がこんなところで飲むとは意外だな。コルン。」
バサッと雑にカーテンを開け、乱暴に入ってきた背の高い男。
綺麗な長い長い銀の髪。
真っ黒な服。
ハットを被るその男ーー…
中学までたまに見ていた程度の私でも知っている。
かなりの重要人物ーー。
ジンだった。