第96章 梓からの相談
確かに好きな人に友人のこととはいえ、恥ずかしい動画のことや、服を脱ぐお店のことは言いたくかもしれない。
…安室さんに内緒で。
出来るかな。バレそうな気もするけど。
「安室さんには言わないのね…わかった。努力はするけど、バレたらごめんね。」
「もしキャバクラで働いてることバレちゃったら私から頼まれたってのは言っていいからね!」
「うん、そうさせてもらう。怖いから。」
「怖いの?安室さん優しそうなのに。」
「…怒るとね?」
「いやん、恋人にか見せない顔ね!素敵!」
…素敵?
問い詰められて、正座させられ、見下ろされて、尋問されるのがすでに目に見えてる気もするが。
う、その時のことを考えただけで胃が痛い。
「すみません。お会計お願いします。」
FBIの男性に席から声をかけられたので、私は慌ててレジに向かった。
お金を預かり、お釣りを渡す。
「…あの。」
「はい。」
メガネ越しに彼を見上げた。
本当に体の大きい人だ。
「あの時の…めぐみさんですよね?」
「…。」
私は咄嗟に梓さんの方を見た。
「あ、すみません。他の方にバレない方がよかったですか。」
「いえ…すみません。」
あのときのパーティーの時と同じように二人してぺこぺことお辞儀をしあった。
「先程、彼女があなたのことをめぐみさんと呼んでたので…あの時と雰囲気が違うから全然分かりませんでした。」
「よく言われます。はは。ここにはよくいらっしゃるんですか?」
「前に一度。しかしどうも彼には嫌われているようで…」
彼ー…安室さんだろう。
確かに安室さんはFBIというだけで嫌ってそうだ。
目の前のFBIの男性は見た目は怖そうなのに、ふわふわとクマさんにみたいに笑ってる。
とても人が良さそうにみえる。
「うちの店員がすみません。彼がいないときまたいつでもいらしてください。」
「…はい、ぜひ。あの……」
「はい?」
「…赤井さんとは恋人ではないんですよね?」
「違いますよ。」
「…よかった。また来ます。」
にこっと笑うと、彼はポアロから出て行った。
「…?」
「ねぇ、今の男性と何話してたの?」
「まだ来ますってだけだよ。」
「えー!?めぐみちゃんモテ期!」
「え?そんな感じじゃないと思うけど…」
安室さんがいない時に来たいって喜んでただけじゃない?